東大、モリブデンを使った新しいアンモニア合成法を開発

朝からめっちゃテンション上がった。ChromeOSとか、Groupon買収破談とかもはやどうでもいい。これがホントなら世界地図が塗り替わるかも!?

アンモニア合成、東大が新手法 次世代エネルギーへ期待

あの臭いアンモニアを合成するのはすごく大変で、現在おもに使われている手法はずっと前にハーバーさんという人とボッシュさんという人が考えだした「ハーバー・ボッシュ法」という手法。これは大学入試でもめっちゃ出題されるめちゃくちゃ重要な反応。これがないとぼくらは肥料を作ったり、窒素を使ったものを作れないんだ。

ハーバーボッシュ法のすごさはwikipediaに書いてあったので、一部分かりやすくして抜粋

ドイツのハーバーさんとボッシュさんによるこの方法は、「水と石炭と空気とからパンを作る方法」とも言われた。
実は小麦を育てるには窒素が入った肥料をすごく使わないといけないんだけども、痩せた土壌で未発達な土地が多いドイツでは、その窒素が入った土地が自然界にあまりなく、そのため小麦の栽培はすごく困難で、高いお金で窒素を使った肥料を輸入したり、痩せた土壌に強いライ麦を作ったり、麦ではなくジャガイモを作ったりしていた。(ちなみにドイツパンが固いライ麦で作られているのが多いのはこういう理由)
そんな時にアンモニアを簡単に合成するハーバーボッシュ法が開発されて、多量の窒素化合物が世界中の農地生態系に供給された。穀物の値段は劇的に低下して世界の人口は急速に増加した。。

つまり僕らがいまパンや小麦を簡単に食べられるのは(もっというとニトリに行けば安く肥料を買えるのは)このハーバーさんとボッシュさんのおかげ。

そもそも窒素というものは空気の中の70%で、ほぼ無限に存在しているといっていい。呼吸したときに酸素を吸っていると思っている人、それは間違っていて、ぼくらはほとんど窒素を吸っている。その中の少しに酸素があって、それをぼくらは呼吸で取り入れているってこと。残りは全部窒素。

「じゃあそれを使えよ!」って思うけど、そうもいかない。なぜかというと、この地球上にこれだけ存在しているということは「窒素」というものは超安定化合物でこいつを普通の状態で他のものと反応させるのはほぼ不可能なのだ。逆に反応してたらそのへんのライターの火とかでガンガン爆発している。そうならないってことは窒素は大体のパワーを使っても反応なんてしないものだってこと。

だから窒素から何かをつくるためにはものすごい加熱して、不安定な状態にしてその隙に「えい!」って他のやつをいれてやっと反応させないといけない。

このときに水素を入れると、アンモニア(NH3)が合成される。アンモニアになってくれればあとはちょっとの力でいろんなものにできるから便利。

で、そのアンモニアを作る方法として有名なのがハーバーボッシュ法。

けどこのハーバーボッシュ法も前述のとおりものすごい加熱して不安定にしないといけないからかなり非効率なんだ。ものすごい過酷な状況に窒素をおいて、とにかく不安定にしないとだめ。お金もかかる。

そこでこの東大が考え出した方法。

もっと簡単に窒素を不安定にできないだっけ?って考えた。そこで新しいヘルパーさんみたいなやつを開発した。ヘルパーさんは何もしないんだけど、こいつがいるおかげで簡単に窒素が反応しやすくなる。

いままでは鉄のヘルパーを使っていたんだけど、東大はどうやらモリブデンといくつかを混ぜて作った新しい新種のヘルパーにしてみたらしい。するとあら不思議、合成できたじゃん。ってこと。

ここからは若干オタクの世界なんだけど、これ反応式見ると常温常圧(一般的な僕らが生活している温度と気圧)で反応しているってのがすごすぎる。加熱しないみたい。

これがうまくいけばいままで莫大なエネルギーを使って作っていた肥料は、ほぼコストゼロになる。何故かといえば、原料の窒素も水素も自然界に無限に近い量あるからタダ。膨大な化学燃料での加熱も必要なし!あとはモリブデンとかいくつかの化学薬品は必要だけど、そのへんのコストだけになる。大量につくられれば、例えばいままで砂漠のところとかにほぼタダみたいな状態で莫大な肥料をまくことができる。痩せた土であっても、それらを使えばもしかしたら砂漠に畑ができて食物ができるかもしれない。食料問題は大きく前進するんだ。

もちろんそんなうまくいかないだろうし、これからたくさんの検証が進められるだろうけど、少なくとも、こういう人類の歴史を大きく変えるかもしれない、教科書を書き換えるかもしれないような研究において日本の大学が結果を出したというのはすごい。事業仕分けとかですごく大変だと思うけど、がんばれー!!!!

実際の論文

A molybdenum complex bearing PNP-type pincer ligands leads to the catalytic reduction of dinitrogen into ammonia

Kazuya Arashiba, Yoshihiro Miyake & Yoshiaki Nishibayashi
AffiliationsContributionsCorresponding author
Nature Chemistry (2010) doi:10.1038/nchem.906
Received 02 August 2010 Accepted 13 October 2010 Published online 05 December 2010

The synthesis of transition metal?dinitrogen complexes and the stoichiometric transformation of their coordinated dinitrogen into ammonia and hydrazine have been the subject of considerable research, with a view to achieving nitrogen fixation under ambient conditions. Since a single example in 2003, no examples have been reported of the catalytic conversion of dinitrogen into ammonia under ambient conditions. The dimolybdenum?dinitrogen complex bearing PNP pincer ligands was found to work as an effective catalyst for the formation of ammonia from dinitrogen, with 23 equiv. of ammonia being produced with the catalyst (12 equiv. of ammonia are produced based on the molybdenum atom of the catalyst). This is another successful example of the catalytic and direct conversion of dinitrogen into ammonia under ambient reaction conditions. We believe that the results described in this Article provide valuable information with which to develop a more effective nitrogen-fixation system under mild reaction conditions.

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追記
一部科学的に検証が必要なことが書いてあるかもしれませんし、100%事実じゃないかもしれませんが、それはこのblogを読んでいただいている方が専門家じゃないということと、話を分かりやすくするためですのであしからず。