就職活動

ぼくの教え子たちがそろそろ就職を迎えるらしく、最近いろいろな相談をうける。今日も2人からメールがきた。本当にうれしいことだ。

なので彼ら彼女らのためにもぼくが体験した就職活動ってやつについて一度ちゃんと書いておこうと思う。少しでも参考にしてもらえればうれしい。

ぼくがこの会社を見つけたのは、リクナビをぼんやり見ていたときに偶然見つけたのがきっかけだ。当時の僕は(まあ今もだが)別にインターネットに興味があったわけでもないし、すごくヘビーユーザーだったわけでもない。普通にレポート書いたり、論文調べたりする程度だったと思う。今の会社に目がとまったのは、そのサイトの中で小太りな社長がとても笑顔で自分の会社について語っている姿が印象的だったからであって、その会社がネットの会社だろうが牛丼屋だろうがその当時のぼくにとってはあまり意味のあることではなかったのだと思う。ちなみに説明会がグループワークの選考を兼ねていたのだが、そのことはエントリーしたあとに気づいた。

大学3年のその当時、大学院に進むことしか考えてなくて、正直内定しても就職しないつもりだった。だから就職活動も空いた時間に練習として行っていただけで、選考も2社しか受けていない。そんなふざけた就職活動だったので、エントリーシートも履歴書も、マークシティーのスタバで3時間くらい前に書いて、同じビルのトイレの横にあるスピード証明写真機で写真を撮って作った。「写真が重要なのか?」という質問に対する答えはこれで十分かと思う(もちろん重要な業界もあるだろうからそこは自分の受ける業界をよく調べてみるといい)。少なくともうちの会社での写真の役割はその人が判別できるかどうかであって、それ以上でもそれ以下でもないらしい。

面接で心がけたことは2つしかない。

1. 正直に言うこと
2. 意図を組むこと

どんな質問をされてもわからなければわからないという。聞き取れなければ聞き取れないという。

そもそも面接が聞き取れないときにもう一度質問をいいですか?と聞いて減点するような会社はまっぴらごめんだ。面接は相手が選んでいることと同時に、自分も選んでいるのだという意識はとても思っていた。悪いが練習のつもりだったのでこんな大胆な気持ちを持てたのかもしれない。そういう意味ではラッキーだった。

就活本に書かれているようなことはほぼ気にしたことがない。たとえばグループワークではタイムキーパーと司会が必要とか、シャツは白色でネクタイは赤色とか。ぼくはリクルートスーツを持っていなかった。だから面接もストライプのスーツに、中はクレディックのシャツだったと思う。

その代わり、相手の意図や本質はものすごく考えた。ある質問をされたときに、なぜその質問をしたのか、何を聞きたいのかということを考える訓練はした。

面接官はその会社の代表として学生を評価しているが、最後に残った学生を社長や役員に見せたときに評価されるのは面接官自身なのだ。だからこそ面接官は限られた時間の中でその人の内面や人格、ありとあらゆるものを引き出し、自分が自信を持って会社の上層部に推薦できるのかを見極めている。すべての質問には意味や意図があって当然だ。無駄な時間などないのだから。

話は飛ぶが僕がいままで面接をしてNGを出した理由のダントツ1位は、学生のスペックでも、過去の体験でもなく、面接時のコミュニケーションが成立しなかったことだということは真実である。とても基礎的なことに思えるかも知れないが、ぼくが聞きたかったこととまったく違う答えをされてキャッチボールが成立しなかった経験は本当に多い。過去に何をしたのかを聞きたかったのにいきなり強みの話をされたり、将来どうなりたいのかを聞いているのに過去の話をされて結局わからなかったりする。そうなると残念ながら評価のしようかない。

学生だったぼくがこのことを考えられたことはとても大きかったと思う。

面接が進むにつれて、いろいろな社員の人と話す機会が多くなった。そのくらいから「本当にここに行ってもいいかな」と思い始めた。それはとてもいい人が多かったからだ。いや多いというよりいい人しかいなかった。わけがわからない年だけとった上司もいないし、みんな輝いて見えた。そして楽しそうに見えた。それがぼくにとってはとても新鮮で心地よく感じたのだった。

会社を選ぶにあたって大切にしたことは2つある。それはいい人と働くということ、それから会社の上層部とどれだけ近くで働けるかということだ。2つ目の要求を満たす会社を考えるといわゆるインターネット系のベンチャー企業が多いだろうから、必然的にネット業界に興味を持っていたのかもしれないが、それに気づいたのは就職活動がある程度進んでからだった。

そういうしているうちに最終面接まで進んだ。

最終面接では社長から「うちと○○(受けていたもう一方の会社)、両方受かったらどっちに行く?」と聞かれた。

ぼくは正直に「わかりません」と答えた。セオリーなら「御社です」と答えるとこなのだろうが、なにせ真実だったのでしょうがない。

ただこの面接が終わったあと、ぼくの腹はほぼ決まっていて、内定をもらえたらここに行こうと思っていた。ぼくが重要だと考えている2つの要素(いい人と働けるかということと、会社の上層部と近く働けるかということ)を満たしている会社がいまここにあるのだから断る理由は見つからない。

もちろんこの会社よりいいところはあると思う。きっとある。だけど星の数ほどある会社をすべてみることなんて不可能だし、最後は直感だと思った。経験薄い学生がいくら頭をしぼったところでたいした答えなんて出ないし、そんなことよりもいま目の前によさそうなところがあるならそこでがんばってみるほうが利口だと思った。なぜならすべての会社を知ることなどできないのだから。

2週間後に内定通知が届いてぼくの就職活動は終わった。

ぼくは就活が楽しかったかと聞かれれば楽しかったと答える。現に楽しかったのだ。

就活生に1つアドバイスするとすれば、「楽しめ」ということだ。

考えてみてほしい。今から5年、10年、20年と働くかもしれない会社を選んでいるにもかかわらず、その選択の過程が楽しめなければ、残念だがその会社をうけるのは辞めたほうがいい。たとえばあなたが大好きな人に手紙を書くときにめんどくさいなどと思うことがあるだろうか。大変だったりつらかったりすると思う。でも必死に書くだろう。会社も同じ。自分がいまから全力でアピールしようとしている会社のエントリーシートなのにそれを書くのがめんどくさかったらもうその時点でやめたほうがいい。それは給料やネームブランドがいくら高くても同じだ。なぜならきっと入社したら今度はどうやって、いつ辞めようかと考えはじめるからだ。あれだけほしかったはずなのに、自分の手に入ったら一気に冷めてしまう。残念ながら人間はそうできているらしい。だからこそ、そうならないために本当に必要なものを大切に探すことだ。

本当に楽しめる会社を見つけること。それがあなたのゴール。あなたのゴールは内定を得ることでもなければ、面接を進むことでもない。今後何年も続くであろう最愛のパートナーを探すことだ。

だからこそその過程を楽しむべきである。そして楽しめる会社を選ぶべきだと思う。

そして自分を知ることだ。たくさんの要素の中から自分の大切にしているものを整理すること。ぼくはその中で「人」と「成長」というキーワードを作った。それがいい人と働くということと会社の上層部とどれだけ近くで働けるかという2つの要求につながった。もし「金」とか「ステータス」みたいなキーワードを作ったのならば、それは給料が高かったり、上にどれだけ早くいけるかみたいな部分が要求に入ってきたと思う。重要なのはこれらを見つけること。そして見つけたらそれらをすべての軸に自信を持って答えればいい。そこに良いも悪いもないのだから。

正直に答えておちたらと思うだろう。その時はこう思えば良い。

「きっとここに入っても幸せはなかったんだろう」と。

いや、負け惜しみではない。あなたが大切なことをぶつけてその会社はそれを受け止めてくれなければ、そこでうそをついたり取り繕ったりすることになんの意味もないのだ。

就職活動は楽しいものだ。だから楽しんでほしい。もしあなたがその会社のエントリーシートを書くことがめんどうだと思うのならその会社を受けることは辞めたほうがいい。そして自分が一番大切にしたいことを見つけることだ。見つかったら自信を持ってそれを武器にすることだ。なければ見つけるまで探し続ければいい。乱暴な言い方をするならば1年くらい探してもいいくらいだ。1年をけちっても、そういう人はどうせ1年早く辞めるんだろうから。

いろいろ話したが、これがぼくの就職活動だ。

最後にこのメール見ている教え子のあなたへ

あなたからの連絡はよろこんで受けますし、僕でよければ時間が許す限りいろいろお話することはできます。
ただちょっと最近忙しいので休日はあいてないこともあります。
よければ平日に渋谷近辺に来ていただけると助かります。
あとメールでの相談なら比較的簡単に答えられます。

よろしく。